研究内容

近年の塩基配列解読技術の革新により、生物の全ゲノム情報や遺伝子発現情報を迅速かつ網羅的に得ることが可能になった。このことで、生物の代謝や機能、複雑な生物複合体の構成、その中の生物間相互作用に至るまで、生物の生き様を多角的に理解することが可能となってきている。環境生命情報学分野では、このような生命情報に基づいて、熱帯・亜熱帯生物圏に特徴的な生物の生理や生態、生物間相互作用を理解することを目的とした教育・研究を推進している。

具体的には、以下の 1) -5) を主要テーマとして取り組んでいる。

  1. 培養困難な共生微生物のゲノム解析により、有用生理活性物質の生合成経路を解明し、応用へ展開する
  2. 沖縄近海に生息する、有用生理活性物質が見出されるカイメンに着目し、その真の生産者と目される共生微生物と宿主カイメンとの独特な共生関係を解明する
  3. サンゴの生育に重要と考えられる、サンゴに感染し定着する微生物に着目し、その移動・感染経路、生態および機能を解明する
  4. 沖縄の微生物資源の利用拡大を目的として、様々な環境から微生物資源を採取しライブラリー化するとともに、難培養微生物の培養化技術を開発する
  5. メタン生成アーキアと機能未知真正細菌の2つの共生体を細胞内に保持するトリミエマ原虫をモデルとして、原虫-アーキア- 細菌の3者による共生の機構を解明する

環境生命情報学分野では、これらの具体的研究課題に加えて、先端シーケンサーの運用と解析を軸として学内外の共同研究を積極的に推進しており、熱帯生物圏研究センターの研究拠点機能の一端を担っている。

  • 沖縄近海の豊かなサンゴ礁。サンゴ礁生態系の形成・維持にはサンゴ内外に棲息するバクテリアの働きが重要であると考えられる。
    沖縄近海の豊かなサンゴ礁。サンゴ礁生態系の形成・維持にはサンゴ内外に棲息するバクテリアの働きが重要であると考えられる。
  • 有用生理活性物質を産する海綿に生息する共生バクテリアの蛍光染色像(赤色)。一部の海綿は共生微生物の働きにより有用生理活性物質を生産する。
    有用生理活性物質を産する海綿に生息する共生バクテリアの蛍光染色像(赤色)。一部の海綿は共生微生物の働きにより有用生理活性物質を生産する。
  • 嫌気性繊毛虫の一種であるトリミエマ原虫は、細胞内にメタン生成アーキアと機能未知の真正細菌を保持している、貴重な細胞内共生研究のモデルである。
    嫌気性繊毛虫の一種であるトリミエマ原虫は、細胞内にメタン生成アーキアと機能未知の真正細菌を保持している、貴重な細胞内共生研究のモデルである。

メンバー

役職 氏名
准教授 新里 尚也
助教 伊藤 通浩

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