島嶼多様性生物学部門

遺伝子機能解析学分野

研究内容

●シロアリの木材分解システムの解明

枯死植物の分解は、主に木材腐朽菌によるが、熱帯・亜熱帯ではシロアリがその大部分を担っている。シロアリと消化管内共生微生物との相互作用によって消化管内に効率良い分解系を構築している。われわれはこの仕組みについて研究を進めており、これまで想定されていなかった昆虫由来の分解酵素も木材消化に重要な働きを担っていることが明らかになってきた。シロアリ、そして消化管内・細胞内共生微生物間のミクロ共生機構を分子生物学、生化学、形態学的手法などを用いて明らかにし、木材分解システムの解明を進めている。

●昆虫と共生微生物における必須共生関係の研究

多くの昆虫種が生存に必要な栄養分の供給を体内に保持する共生微生物に依存している。われわれは、このような昆虫の必須共生関係の進化に注目して、ゴキブリやシロアリ、カメムシ、セミ、ミバエなどが保有する細胞内、腸内共生微生物(細菌や真菌)を対象にゲノム解析や代謝物解析を進めている。また、昆虫がもつ「菌細胞」という共生微生物専用の細胞の発生や微生物の感染機構、遺伝子の発現や機能も解析している。これらの昆虫類の共生微生物の喪失や獲得も主な研究テーマの一つで、日本のセミ類の多くが必須共生細菌を失って、代わりに寄生性の冬虫夏草に由来する真菌類と共生するようになったことも発見した。研究では野外調査、単離培養、新種記載、遺伝子実験、ゲノム解析など広く手掛ける。

(左上)透明化したタカサゴシロアリとその腸。
(右上)シロアリ腸内の微生物(繊毛虫)と材片。
(左下)DAPI染色像(核が青く光っている)。
(右下)蛍光像(繊毛虫の細胞内に共生しているメタン生成菌が緑色に光っている)。

(左)シロアリと姉妹群のキゴキブリ。
(右)キゴキブリの幼虫。シロアリとよく似ている。

(左)ヒメナガカメムシのメス成虫
(右)菌細胞に共生細菌が所狭しと詰まっている(青はDNA染色)

(左)イワサキクサゼミオス成虫と(右)共生真菌 (黄色は細胞壁)
多くのセミ類は冬虫夏草に由来する真菌類と共生している

メンバー

役職氏名
教授徳田 岳
助教松浦 優

キーワード

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