研究内容

陸上を自由に動き回ることのできない植物は、刻々と変化する環境の中で生き延びるために独自の術を身につけてきた。生体内で作り出される化合物もその一つであり、動物に比べて多種多様であることが特徴である。

我々は、その中でも特に「植物ホルモン」と呼ばれる生理活性物質に着目し、その作用機構の解明に取り組んでいる。これにより、高温や高塩濃度といった熱帯地域特有の環境ストレス存在下での植物の生存メカニズムを明らかにする。

また、植物が作り出す化合物の中には動物の生理機能に強く作用するもの(ファイトケミカル)も多く存在する。我々は、亜熱帯島嶼域の植物資源の機能的特徴に由来するファイトケミカルを明らかにするとともに、それらを食事として摂取した場合のヒトの健康への複合的な影響を評価する研究も進めている。

主な研究テーマ

  • 植物ホルモンの生合成、輸送、情報伝達に関与する因子の同定
  • 植物のストレス応答機構の解明
  • 種子の休眠と発芽の制御機構の解明
  • 沖縄県に特徴的な生物資源による生活習慣病改善作用(ボタンボウフウ(長命草)、からし菜、シビラン(琉れん草))
  • フィトケミカルの相互作用による新たな機能性の発現と作用機序の解明(相乗的抗腫瘍活性、相乗的抗肥満作用など)
  • 図1 植物ホルモンの一つであるアブシシン酸を合成できないシロイヌナズナ変異体(下)は気孔の閉鎖に欠陥を持つため、野生型植物(上)に比べて萎れやすい。
    図1 植物ホルモンの一つであるアブシシン酸を合成できないシロイヌナズナ変異体(下)は気孔の閉鎖に欠陥を持つため、野生型植物(上)に比べて萎れやすい。
  • 図2 アルクチゲニン(ARC)とノビレチン(NOB)は協働することで強い脂肪蓄積の抑制作用を示す。
    図2 アルクチゲニン(ARC)とノビレチン(NOB)は協働することで強い脂肪蓄積の抑制作用を示す。

メンバー

役職 氏名
教授 瀬尾 光範
准教授 岩崎 公典
准教授(併任) 稲福 征志

キーワード